009 ヤマハXJR1200 エンジンオーバーホール編
購入後11年間で約27000㎞を走行したXJR1200ですが最近は少しパワーダウンしてきたこともあり、シリンダから上の部分を分解整備することになりました。写真はシリンダヘッドカバーとカムシャフトを取り外したところです。オイル通路やチェーンスライダーの汚れ具合や摩耗状態を点検します。特に、左右2列に8か所あるカムシャフトホルダー(バルブリフターにはさまれている場所)のオイル穴に詰まりがないかをよく確かめます。
上の写真のシリンダヘッド部を拡大したもの(4番シリンダのインレット側)です。バルブ回りは直押しタイプなので調整はありません。オイルだまりのオイル量と汚れ具合を点検することでエンジンのコンディションが推測できます。
バルブリフター(上)とアジャスティングパッド(下)を取り外して白い布の上に置いたところです。アジャスティングパッドは厚みを計測しバルブクリアランスが規定より大きければ適正な厚みのパッドと交換します。
シリンダヘッド、シリンダを取り外して点検します。ピストンヘッドにはカーボンが堆積していてピストンリングもヘタリ気味なのがわかります。このときシリンダヘッド内に傷などがないか確認することも大切です。
取り外したピストンと組みつけた新品のピストンとの比較です。ピストンの摩耗状態やカーボンの様子を比べることができます。こうした作業時には各部のすきまにきれいなウェスなどを詰めてクリップのような細かいパーツがクランクケース内に落ちないように気をつけます(※下)。
新しいピストンに交換した後シリンダを組み付けていきますが、スクレッパーで古いガスケットをきれいに取り除きエアを吹いてから行います。また、ここでもオイル通路などに詰まりがないか必ず確認をしておきます。
※注意しながら作業をしたにもかかわらず、なんとカムチェーントンネル内にナットをひとつ落としてしまいました。苦労して行方を捜したところオイルパン内にあることがわかり、結局オイルパンを分解してやっと発見しました。手に持っているのがナットですが11年分の汚れもよくわかります。
汚れを洗浄しきれいにしたあとのオイルパンです。ナットを落下させたことが怪我の功名でここも分解整備することができました。この後組み付けてエンジンオイルを注入しますが、エンジンを始動して5分間くらいはアイドリング状態を保ちオイル漏れの有無を確認して作業完了となります。
(旧HP2005.7.18~8.23~9.6掲載分)