101 ヤマハ ニュースメイト 力が出ない編
<2017.3月修理分>
新聞配達に使用しているヤマハニュースメイトです。アクセルを全開にしてもスピードが30㎞/h以下にしかならず坂道も登れなくなってしまったとのことでキャブレターのオーバーホールとマフラーの交換をしました。修理完了後しばらくは少し改善したものの、1週間ほどで再び同じ症状に見舞われてしまいました。
これはレッグシールドをはずしたところでエンジン、キャブレターが見えています。
圧縮圧力を測定しましたが正常値だったのでシリンダヘッドを取りはずしてみるとピストン頂部がカーボンで真っ黒になっていました。この様子ではエンジンの内部まで追っていかないと詳細が把握できません。
そこでシリンダを取りはずしてみるとピストンとピストンリングにはカーボンが付着しているものの焼付きはみられません。カーボンを落とせば使用可能な状態でした。また、クランクシャフトにも問題はなくそのまま使えることが確認できました。
ここまできたところで原因はシリンダにあるだろうと見当をつけシリンダ内面を見ると写真のように細かなカーボンが付着していました。
シリンダの内側にまでカーボンの痕跡があるということは「もしや」と思い排気口を調べると、驚いたことにカーボンが詰まって排気の穴の大きさが正常時の半分ほどになっていました。これではきちんと排気ができずパワーもでないわけです。
原因がわかったので後はカーボンを削り落としていきます。黒いカスのようなものが詰まっていたカーボンです。
シリンダの内面です。カメラの角度のために三日月状に見えているところが排気口です。排気口、内面の壁ともにカーボンが取れてきれいになりました。
再び組み上げて最後にシリンダヘッドのナットを締め付けているところです。トルクレンチを使用して10Nm(ニュートンメーター)で締めます。
2サイクルエンジンの宿命とはいえ今回のように排気口の半分ほどもカーボンで埋まってしまったのは、新聞配達という過酷な使用があったからといえます。それでも走行距離49,000キロメートルを働き続けてきた頑健なビジネス車なのです。