062 ホンダ ズーマー駆動系のトラブル編

2013-12-28

これはvol.041のクランクシャフトを交換したホンダ・ズーマーと同じ車両で走行は28,000㎞です。今回はスピードが出なくなり坂道を登れなくなってしまったという症状です。原因として疑わしいのはキャブレターやマフラーの詰まり、エンジンの圧縮圧力の低下、点火装置の不良などがあげられますが点検の結果はどれも問題はありませんでした。次に駆動系を点検するため上の写真のようにクランクケースカバーを取り外してVベルト、クラッチをみてみましたがこれも正常でした。

 

そこでプーリー部を分解してみると全部で6個あるべきウエイトローラーは2個が破損してなくなっており、残る4個も摩耗してしまっているためプライマリーシーブが動かず変速できないことがわかりました。

 

これは破損したウエイトローラー(左の2個)と新品(右の2個)の比較です。破損した方はほとんど原型をとどめていません。正常であればプライマリーシーブ内側の溝をウエイトローラーがスムーズに転がり、シーブを押すことでVベルトの位置が変わりスピードとトルクをコントロールします。

 

右は新しいウエイトローラーをプライマリーシーブ内側の溝にセットしたところです。これに左のカムを取り付けてクランクシャフトにはめ込みVベルトをセットして試運転をしてみるとスムーズに変速し、スピードの増減や坂道でのトルク変化も正常で上り走行も問題ありませんでした。

 

最後にカバーを取り付けて作業は完了です。この車両は走行距離が長く疲労や劣化によってこのような状態になったと思われますが、日頃の走行時に加速が悪くなった、今までのように坂道を登れない、といった症状を感じたら点検を受けてみることをお勧めします。

 

 

 

 

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