031 ホンダ モンキー異音編
<旧HP2008.11.30・2008.12.29掲載分>
ホンダ・モンキー(改)(型式Z50Z 年式不明 走行4200㎞)です。エンジンをかけるとシリンダヘッドまわりから出る「カチカチ音」・・・。気にはなりつつもそのまま走行すること半年。
しかし、さすがに放置できなくなって点検→修理の依頼がありました。
音の原因としてまっさきに考えられるタペットクリアランスですが、点検の結果は異状なしでした。
次の原因として考えられるカムチェーンを調べたところ「伸び」が見られたため新しいものと交換をしましたが依然として「カチカチ音」は消えません。
そこでエンジン内部を精査すべく、ヘッドだけではなくシリンダまで分解してみることにしました。
モンキー系のエンジンはフレームから降ろすことなくシリンダまで分解できるので助かります。(・・・ホンネ!)
シリンダまで分解したところで音の原因が判明しました。ピストンピンクリップが外れるか折れるかしたことでピストンピンが飛び出しその結果不安定になったピストンが振れて打音が出ていたのです。
右図では ピストンの横が削れていますが、これは破損したピストンピンクリップの破片がピストンとシリンダの隙間に入り込んで傷をつけてしまったものです。
写真の円柱内部の2本の線が削れてできた傷跡です。
シリンダ内部をよく見ると摺動面にピストンピンで削れた傷跡がくっきりとわかります。
これではそのまま使うことができませんので、ピストンとシリンダともに新品に交換することになりました。
左の写真は新品のピストンとシリンダです。
新品とはいえ組み付け前にはウエスなどできれいに拭いてエアガンで細かいホコリを吹き飛ばし、エンジンオイルを塗布します。※
※分解して組み直したエンジンは、その後始動した際にすぐにはエンジンオイルがまわらないので、潤滑不良をおこさないために組み付け時にエンジンオイルを塗っておきます。
コンロッドにピストンを組み付けたところです。
ピストンピンクリップを取り付けるとき、クランクケース内への落下防止のためにウエスを詰めるなどします。
ピストンリングは 組み付け位置が指定されている場合切り欠きに合わせます。
シリンダを組み付けたところです。
ピストンがシリンダ内をスムーズに動くか確認したらシリンダヘッド、カムスプロケットなどを組んでいき規定トルクで締めつけます。
付属機器も取り付けエンジンを再始動するとカチカチ音は消えスムーズに吹け上がりました。
今回の場合、最初に異音がした時点で既にピストンは破損していたと思われますが、それでもエンジンはかかってしまうので(ある意味、それほど優秀なので)多少おかしいな、と感じつつも半年も走ってしまいましたが、いつもと違うな、と気づいたらその時点ですぐに原因を探ることはとても大切なことだといえます。