083 ヤマハ Vメイト50 新聞配達の過酷な走行の痕跡
2015-11-26
<2015.10月修理分>
新聞配達店のバイクですが早朝の配達中に突然大きなバリバリ音がして走行できなくなってしまいました。エンジンをかけてみるとなるほど半端ではない爆音とともに明らかに排気漏れしていることがわかりました。
症状から判断してマフラーの破損を疑い、車体から取り外してみたのがこの写真です。ボロボロに腐食して大きな穴がふたつあいています。穴が小さければ溶接などでの修理が可能ですが、今回の場合は交換するしか手段がありません。
これは新旧のマフラーを並べたところですが同じ部品とは思えないような様相です。
マフラーを取りはずしただけなのにエンジンの下にはたくさんのサビなどの腐食物が落ちてたまっています。
これはやっとシリンダまで取りはずしたところですが、スタッドボルト3本も使用不能の状態で1本だけが残っています。ピストンも長年の使用で焼けて真っ黒になっています。
上の写真ではシリンダの放熱フィンが腐食によって何枚も折れてボロボロになっているのがわかります。下の新しいものと比べると違いは歴然です。
上の写真はスタッドボルトとピストンセットを新しくしたところです。下は新品のシリンダとマフラーを組み付けたところです。これでエンジンをかけたところ始動に問題はなく、軽やかな2サイクル音がして異音は消えていました。
今回のこのVメイトはなんと20年も新聞配達に走り回ってきた働き者でした。単純に使用年数だけでも驚く長さなのですが、冬季に降雪のある当地では残雪を溶かすために道路に塩化カルシウムが撒かれます。通常よりも酷いサビや腐食はこの塩カルのためだと考えられますが、他にも海沿いの地域では潮風の影響が出たり、と修理の内容にも地域性が出てくることがあります。
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