095 ヤマハ トリッカー変速機編
<2016.11月修理分> 走行中にギヤチェンジができなくなってしまいました。 このトリッカーは以前にチェンジペダルが空回りしてしまうという症状で店に入ってきたのですが、その時はチェンジペダルとチェンジシャフトの噛合部のセレーションが削れたことが原因でしたので、削れた部分にヤスリをかけて溝を切り直し再びシフトアームを取付けてトルクをかけてしっかり締めることで解消しました。 上の写真でもわかるように今回はペダルの位置は正常です。 そこでチェンジ機構のトラブルを疑い分解することにしました。中央に見えるクランクケースカバーを取りはずすのですが、そのためには周囲のリヤブレーキアームやオイルパイプを先にはずしておかなければなりません。 クランクケースカバーを取りはずすとクラッチや各ギヤが見えてきます。クラッチを分解してその奥にあるクラッチ機構を調べるのですが、この時クラッチ板やフリクションプレートの摩耗状態もチェックしておきます。 上の写真ではチェンジシャフトとシフトドラムの組み合わせと位置関係がよくわかります。右側に見える3組のギヤはクランクシャフトドライブギヤ(上)、バランサーギヤ(下左)、オイルポンプギヤ(下右)です。 チェンジシャフトを抜き出したところです。 これは新旧のチェンジシャフトの比較です。鉤型の部分はシフトドラムを回転させるための爪のようなものです。ギヤチェンジがかなり過酷だったのか、これが変形したため回転が不足しギヤの位置を変えられなくなったことが今回の症状の原因でした。写真でもわかるように新しいほうが形が大きくなっているのは、おそらくこうした症状がある程度頻繁に発生する中で後継部品には最初から補強対策が施されるようになったのではないかと思われます。新しいチェンジシャフトを組付けたところです。オフロード系のバイクはギヤチェンジが荒くなりがちですが、わずかな走り方の工夫で防げるトラブルかもしれません。