097 スズキTS125Rシリンダボーリング編<後編>
2016-12-25
<2016.12月修理分>
新品のピストンとシリンダガスケットを取り付けたところです。このときコンロッド大端部に必ずエンジンオイルを差しておきます。このあとシリンダを組み付けます。
無事にピストンとシリンダが組みあがりました。ピストンヘッドに刻印が見えますが◁マークの向いている方が排気方向になります。シリンダボルトは対角上に26~30N・m(ニュートンメーター)で締め付けます。
ここでピストンがスムーズに動くかどうか、異音などが出ていないかを確認します。ゆっくりキックして何回かピストンを往復させます。上の写真はピストンが圧縮上死点まで下がったところです。
これはシリンダヘッドを組み付けラジエターホース、ウォーターホースなどを取り付けクーラントを注入したところです。この時点でシリンダ、シリンダヘッドの合わせ面からクーラントの漏れがないか点検します。
オイルポンプ(中央)とその周辺の写真です。左上に伸びているパイプの先にあるオイルタンクのオイル量が非常に少ないので十分なオイルを補充しました。その後オイルポンプのエア抜きをおこなうと気泡が出てきました。今回の焼付きの原因はオイルタンク内のオイルが少ない状態で走行したことでオイルパイプ内に気泡が入り、オイルポンプが気泡を噛んでオイルを圧送できなくなったことでした。こうした焼付き修理の場合、当店では燃料タンク内にガソリンを入れたあと少量のエンジンオイルを注入します。これは新品のシリンダとピストンのなじみをよくするためで潤滑剤の役割を果たします。具体的にはガソリン:オイルが100:1の割合になるようにメスシリンダでオイルを計量して注ぎ入れます。こうすることで走り始めてから再び焼付きをおこす危険性を回避することにもなります。
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