073 ヤマハ除雪機修理編
除雪作業中に走行できなくなってしまいました。
全体を点検してみるとエンジンは問題なく始動しますがシフトレバーを前進・後進に入れてもまったく走行しません。しかしオーガ(雪を飛ばす装置)は正常に作動します。ということはこの故障は走行系統のトラブルと考えられるので上の写真のようにカバー類をどんどん分解して取り外しながら原因を追っていきます。
結論から言うと今回のトラブルは原因がふたつある複合型の故障でした。まずひとつはシフトレバーについているシフトケーブルの切断です。この除雪機は5~6年使用しているもので、その間にケーブル内に水分やホコリが入って潤滑不良を起こし、内部の抵抗が大きくなっていったところでケーブルの一部に曲りが生じて破断したようです。
これは新しいケーブルをシフトレバーに取付けたところです。
次にふたつめの原因ですが、これは走行用ベルトの摩耗でした。上の写真は走行用ベルトにたどり着くためにまずオーガベルト(中央右寄りのベルト)を外して電磁クラッチ(中央の黒くて丸い部分)が見えるようにしたところです。
これは電磁クラッチとともに周りのスプリングなども取り外した状態の写真で、右のオーガベルトとは別に中央にようやく走行用ベルトが見えてきました。かなり込み入った作業といえます。
上の2枚の写真は全体像とアップ図で比較した新旧の走行用ベルトです。どちらも左側が新しいベルトです。使用後のベルトは伸びて変形しており、なおかつ摩耗して幅が細くなっています。
除雪機はバイク以上にシーズンが限定される「機械」です。雪の多い冬もあればまったく降らない年もあり、そんな年が続けば出番のないまま月日が経ってしまうこともあります。しかしひとたび積雪があればすぐにも始動させて作業にとりかからなければならない使命をもってもいます。どんな冬も安心して迎えていただくためにシーズン前の点検をお勧めします。