040 自転車?バイク?サンライト編
<旧HP2009.11.07・2009.12.07・2009.12.20掲載分>
非常に珍しい修理車が入庫しました。1954年、昭和29年。今から55年前のバイクです。
左の写真は平成9年発行の「日本モーターサイクル史」(八重洲出版)から転載したもので、以下のような説明がついています。
三輝工業㈱ サンライトSMR22 60㏄
ランプメーカーとして知られたSMRは、各種エンジンも手掛けていた。
2次駆動方式はゴムローラー圧着式。機関は板垣製。
空冷2サイクル単気筒 ボアストローク42㎜×42㎜ 58㏄
最高出力1.8ps/4200rpm
上の写真と、今回修理に入った左の現車を比べてみると違いは燃料タンクの位置くらいです。
(上の写真では後輪右横 今回の修理車ではフレームの中央)
これは推測ですが、マイナーチェンジをしていく過程で車体のバランスをより向上させるため、燃料タンクはフレームの中心に移動していったのではないでしょうか。
製造されてからの年月を考えればたいへん素晴らしい保存状態といえると思います。
オーナーのお話では10年くらい前に一度エンジンがかかる状態にしたものの、そのまま放置してしまったとのことです。
当時は自転車にエンジンを載せて走らせるバイクが数多く使用されていたようですが、まさにこの1台がそれを証明しています。
始動したあかつきにはどんなエンジン音がするのでしょうか。
←正面から
←右横から
昔のものは 開 ⇔ 閉 のプレートがわかりやすく、チョークレバーの形状は素朴ながら温かみのあるデザイン性が感じられます。点検の結果キャブは良好、圧縮圧も正常でした。
上の写真が今回のサンライトのキャブレター
右の楕円内の写真はモンキーのキャブレターです。
写真はポイントヤスリでポイント面を研磨しているところです。
点火プラグを点検したところ火花が飛ばず、新品のプラグに交換しても変化がなかったため点火装置を調べたらポイント面が汚れ、荒れた状態になっていたためです。
ポイントヤスリがない場合、目の細かい紙ヤスリを小さく切っておりたたんで代用します。それをポイント面の間に入れて研磨し最後に磨きクズを残さないようきれいにしておくことが大切です。
これはシックネスゲージでポイント面のすき間を計測しているところです。
この車両の基準値は0.35㎜なのですが0.60㎜と広すぎる状態になっていたので基準値に調整し直したおころ点火プラグに火花が飛ぶようになりました。
ヒューエルコックを開きチョークを閉じて動力レバーを引き上げます。
そしてクランクペダルを踏み込むとエンジンの始動です。
エンジンを止める時はハンドル左側のデコンプレバーを引きます。
エンジンは始動しましたが、動力レバーを引きあげて荷重がかかるとエンストしてしまいます。そこでクランクペダルを踏んで力をアシストしてみました。一見すると普通に自転車をこいでいる図ですが・・・
ようやく走り出しに成功!
走るさまも「自転車こぎ」ではなく「バイク走行」となりました。